2014年 08月 11日
NIKONの苦境
「東洋経済オンライン」に「どうしたニコン、足引っ張るカメラ事業」という記事が掲載された そうだろうなという印象である 学生時代から所謂NIKON党で、これまでフィルムカメラ、デジタルカメラ、レンズなど大量のNIKON製品を買い込んで来たが、現在のNIKONの製品群には殆ど魅力を感じなくなってしまった それは、NIKONという会社が、誠実である反面自社製品に対する頑固さから、市場ニーズに対する対応が極めて鈍重であることに起因する

私のニーズが世の中を代表するなどと大それたことは言わないが、敢えて一人のカメラ愛好家のささやかな希望を述べると
1)綺麗で高精細な写真が撮りたい
2)若い頃と違い、体力にも限界があるので、撮影機材は出来るだけ軽く、小型であって欲しい
3)多様なマウントアダプターが出ている今日、他社製レンズもフルサイズで使用できるボディが欲しい
4)NIKON機独自の技術的メリットが欲しい
などである 

このうち、1)についてはまあまあクリア出来る製品を出しているが 2)は最大の問題であり、スタジオ用なら兎も角、まともな写真が撮れるカメラをNIKONで調達しようとすると、そのサイズや重量で、先ず躊躇してしまう 高齢ユーザーの比率が高まることは必至な今日、この点をもっと真剣に考えた製品企画を行わないと、NIKON製品は一部のプロ用としてしか生き残れないだろう 小型のVシリーズもあるが、これでは逆に1)を満足させることが出来ない もっとも、この大きさは手が大きく、体力のある欧米人向けに設計されているのであって、狭小化しつつある日本市場については、最早重要視していないのかもしれないが

3)これまで、NIKONは多少の制約はあっても、Fマウントの汎用性を重視し、その長いフランジバックを持った製品を作り続けている このことは、NIKONのレンズは適当な厚みのあるマウントアダプターを介せば、フランジバックの短い他社ボディに装着することが出来るが、逆に他社製レンズをNIKON機に装着する場合、焦点距離全域で使用するためには、調整用のレンズを埋め込んだアダプターを使用する必要があり(注)、そのレンズ性能が悪ければNIKONレンズのメリットが出ないという問題がある NIKONボディにはFマウントレンズをというのがメーカーの希望だろうが、ユーザーからすれば、個性的な他社製レンズに対して汎用性のあるボディの方が魅力的であるのは当然である

4)現在のNIKON製品で魅力的なのは、ナノクリスタルコーティングを施したレンズ群であるが、これもみな馬鹿でかく重いので、実際に外へ持ち出すにはためらいがある その他の機能・性能について、他社を圧倒するようなものに乏しく、全体に商品群としての魅力が希薄になって来ている SONYの超高感度技術、FUJIの独特な画素配置による色再現、SIGMAのFaveonセンサー、OLYMPUSの5軸手振れ補正などなど、その有効性は兎も角、他社製品には何か突出して目を引く新技術が盛り込まれている こうしたものと比較すると、NIKONは何を売りにしているのか判然としない このままの状態が続けば、SONY/FUJIにメインシステムを変更せざるを得ないだろう (D800E以降NIKONの新製品には手を出さず、SONY α7Rを前提としたレンズ、FUJIのX-Pro1 X-T1のシステムの充実という方向にシフトしている)

こうしたことから、今後NIKONがやらなくてはいけないのは、以下の諸点であると思う
1)コンデジなど不採算商品からの撤退ないし、特徴のある強力なコンデジ数機種の企画とそれへの集中
2)フラッグシップ機(D4S D810)以外の機種の大幅なダウンサイジング
3)新レンズ体系の構築(フランジバックの短い新マウントの導入と、純正高性能旧(現行)レンズ対応マウントアダプターの開発)
4)魅力的かつ画期的な新技術の模索
一人のNIKON愛好者として、同社の機敏な対応を望みたい 体力のあるうちに危機を認識し、改革を行わないと、ヒタヒタと足音を殺してやってくる滅びに飲み込まれるということを、これまでの産業史が語っているからである

(注)最近、他社製レンズのマウント部をNIKONのFマウントに変更し、かつフランジバック調整も行なう部品もあるようだが、NIKON用/オリジナルマウント用としてレンズを使いまわす場合、イチイチ部品の付け替えを行なうか、Fからオリジナルマウントへの変換アダプターを使うかと言ったおかしなことをしなければならない

by Nonbiriojisan | 2014-08-11 07:00 | Photo


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